寺院のルーツ「宗派」を知る

 日本の寺院の歴史は、仏教が五三八年に伝来したことから始まる。この時期に生まれたのが三論宗などの「南都六宗」だ。南都六宗には次のようなものがある。

・三論宗…随代に大成され、六二五年に高句麗僧慧灌によって日本に伝えられた。中心経典は『中論』『百論』『十二門論』。主要寺院は元興寺、大安寺。
・法相宗…唐の高僧玄奘の『成唯識論』を礎に弟子の基
が開宗。六五三年、日本伝来。主要寺院は興福寺、薬師寺。
・華厳宗…唐時代に成立し、新羅の僧審祥によって七三六年、日本に伝えられた。中心経典は『華厳経』。主要寺院は東大寺。
・成実宗…『成実論』を研究する学派で、伝来は不明。三論宗とともに日本に伝わるが、その寓宗と位置づけられた。主要寺院なし。
・倶舎宗…インドの僧、世親の著書『倶舎論』研究のため
中国南北朝時代に成立。ともに伝来した法相宗の寓宗で、六五八年に日本に伝来した。主要寺院なし。
・律宗…七五四年、道宣の孫弟子の鑑真が日本に伝える。『四分律』を重んじる唐の学僧、道宣が祖。主要寺院は唐招提寺、西大寺。
 しかし、南都六宗は、国によって過剰に保護されたこともあり、次第に堕落していく。平安時代に入り、仏教界の立て直しを図るため「平安仏教」が誕生する。その旗頭が本場で修行を積んだ「最澄」と「空海」であり、「天台宗」と「真言宗」である。
・天台宗…七八五年、最澄が開宗。円(法華経)・密(密教)・禅(坐禅)・戒(戒律)・浄土(浄土信仰)の仏教修行を重視。日本仏教の総合大学的存在。主要寺院は比叡山延暦寺。
・真言宗…空海が八〇六年に開宗。加持祈祷により即身成仏(生きている今、仏の境地に至ること)が可能と説く。中心経典は『大日経』『金剛頂経』。主要寺院は高野山金剛峯寺など。
 しかし、彼らの仏教は難解で庶民には受け入れられなかった。そこで生まれたのが「鎌倉新仏教」。災害や疫病から逃れるため、心の拠り所を求める庶民にも分かるように、比叡山に学んだ僧が中心になり、六つの新宗派が生み出された。
 「念仏を唱えれば成仏でき極楽浄土に行ける」と説く浄土系の「浄土宗」「浄土真宗」「時宗」、坐禅を薦める禅宗の「臨済宗」「曹洞宗」、「お題目を唱えよ」と教えた「日蓮宗」は非常に分かりやすく、即座に民衆に広まった。
・浄土宗…一一七五年に法然が開宗。「南無阿弥陀仏」と唱えれば誰でも阿弥陀仏に救済され成仏できるとする。主要寺院は知恩院。
・浄土真宗…法然の弟子である親鸞が一二二四年に開宗。我々は現時点で阿弥陀仏によって救済されていて、念仏は感謝を表すものと説く。主要寺院は本願寺。
・時宗…一二七四年、一遍によって開宗。阿弥陀仏による救済は決まっていることであり、その喜びを噛み締めて念仏を唱えよ、と説く。主要寺院は清浄光寺。
・臨済宗…栄西によって一一九一年、日本に伝来する。坐禅に加え、戒律や悟りを得るための学問も重要とした。室町期に隆盛を極める。主要寺院は建仁寺。
・曹洞宗…一二二七年、道元により日本伝来。ただひたすら坐禅を行うことが、自我から解放される道であると説く。主要寺院は大本山永平寺、総持寺。
・日蓮宗…日蓮が一二五三年に開宗。ブッダの教えは『法華経』にあり「南無妙法蓮華経」を題目として唱えれば救われると説く。主要寺院は久遠寺。

 また、江戸時代には、中国の高僧隠元が「黄檗宗」を開宗するが、現代に伝わる日本仏教の有力宗派は、鎌倉時代にほぼすべてが開宗されたのがお分かりいただけるだろう。

観音寺

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