参拝の意義とマナー

 これまで神社や寺院に参拝したことがないという人はほとんどいないだろう。しかし、正しい参拝方法を知っているかと聞かれて、自信を持って「知っている」と答えられる人はそれほど多くはないのでは。
 崇拝対象が異なる神社と寺院では、当然ながらその参拝方法も異なる。ここでは、最低限これを覚えておけば、分からずに周囲の人を観察してしまうこともなくなる、参拝するにあたっての基本的な作法をご紹介したい。
 参拝する際に紛らわしいのが、神社と寺院で作法が若干違うことだ。ただ、境内に入ったら手水舎でお清めをして、本堂もしくは拝殿で賽銭を捧げるというところまでは、神社でも寺院でも大きく違わない。しかし、ここから先が神社と寺院では異なるので覚えておきたい。

神社での参拝
基本は「二礼、二拍手、一礼」

一礼 二拍手 二礼

一礼 二拍手 二礼

 神社では「二礼、二拍手、一礼」でお参りする。鈴がある場合はまず鳴らしてから、上体を九〇度折って二度礼をする。ゆったりと二回手を打ち、手を合わせた状態で神様への感謝や願いごとを伝える。最後にもう一度深く礼をして退去しよう。
 手を打つのは敬意の表現なのだが、神様に気付いてもらう合図という説もある。拍手の際に、右手を左手の第一関節までずらすと良いとされる。ただ、拍手や礼の回数が異なる神社もあるので注意が必要だ。
 神様からのご利益は「御神徳」と呼ぶのが習わし。我々は祀られた神様や神社の由来にあやかって、さまざまな御神徳を期待してしまいがちだ。しかし御神徳は、あくまでも自分の努力の結果に授かるもの。自分では何もせずに、ただ御神徳にあずかろうということはできないのだ。
 また、神社では絵馬を奉納するのが一般的だが、これはかつて本物の馬を納めていた習慣が転じたと言われている。

寺院での参拝
「胸の前で合掌して、頭を下げる」
 

 寺院では「胸の前で合掌し、頭を下げて」お参りするのが作法だ。思わず手を打ちたくなるが、それは間違い。両手を合わせ、軽く頭を下げるだけでよい。合掌の際は、両手を胸の前でぴったりと合わせるのがポイント。なぜなら、それは仏様と自分が一体になるという意味を持っているからだ。
 ただし、天台宗や真言宗では指を互いに組むなど、宗派によって違いもあるので注意が必要。
 我々はお参りする際、どうしても現世利益を願いがちだが、本来のご利益は仏の教えに従って善行を積み重ねて初めて得られるものだ。 賽銭もお布施の一部として位置づけられているものなので、引き換えにご利益が保証される訳ではないということは知っておかなければいけないだろう。
 神社にせよ寺院にせよ、参拝したからすぐに御神徳やご利益にあずかれる訳ではない。日頃から自分自身を律し、見つめることが何よりも大切だということを肝に銘じたい。

合掌

合掌

神社や寺院でしてはいけないこと
 

 また、併せて覚えておきたいのが、神社や寺院でしてはいけないことだ。
 神社においてしてはいけない代表的なこととして、「参道の真ん中を歩く」ということがある。なぜかと言うと、これは「神様の通り道をあけておく」ため。参道では端を歩くことを意識したい。加えて、境内は火気厳禁であるので、煙草も控えた方がよいし、飲食や大きな音を立てることもしてはいけないことになる。
 また、神社を犬などペットの散歩コースにしている人もいるかもしれないが、基本的にペットを境内に入れることもしてはいけない。
 ただ、これらは常識の範疇。守れて当然だと思ってほしい。
 寺院は、基本的に「修行の場」であるということを忘れないこと。神社と同様に、参拝者が心がけるべきことは常識的なことばかりではある。ただ、仏教では殺生を戒める考えがあり、肉食はしてはいけないことになるので注意が必要だ。また、男女の交わりや酒なども、同様に禁じられている。
 ここまで、神社と寺院それぞれの参拝の作法や、してはいけないことを紹介してきたが、一番理解しておかなければいけないのは、それらを行う・行わないは結局のところ我々の「心」が決めるのだということではないだろうか。
 いつ、いかなる時も神様や仏様の導きは変わることはない。変わるのは、いつでも我々の側だということを十分に理解し、神様・仏様を心から敬い、純粋な気持ちでお参りすることが何よりも大切なことなのだ。

参道の中央を歩かない

参道の中央を歩かない



境内にペットを連れ込まない

境内にペットを連れ込まない


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